妄想小説 風舞 35

            妄想小説 風舞 35

「怖い・・家の周りに幽霊がうじゃうじゃいるってこと?」

 そう言えば昔から尚子は幽霊嫌いだった。からかうつもりだったが、心配なくらいに怖がっている。

「幽霊と幽体離脱は違うさ。幽霊は死んでも死にきれない怨霊だけど、幽体離脱は生きたまま心を解き放つ・・あ、そうだテレパシーって解るよね。遠くの相手に直接心で呼びかけたりすること・・」

「なんとなく・・想念エネルギーってやつね。男と女が求め合うのも、互いに心で呼び合っているからよね」

 俺は肉体から離れた心が自由に山を越え、花咲く野を駆け森へ潜る面白さを語った。野の花や動物が驚く様子は童話の世界だ。命あるものすべてが友であり仲間だ。町から町を旅する渡り鳥はどの町にすごい美女がいるから見て置けと教えるし、噂話しの好きな猫とネズミがどの家の飯がうまいかまずいかを言い争っている。強風にあおられ失速しそうになってもカラスの集団が身体を支え、風の流れに舞う術を教えてくれる。

 気づいたら備わっていた俺の特技だ。ただ問題は、幽体離脱する前に、地の底へ落ちて行くような負荷がかかる。2度と浮かび上がれない恐怖を伴う。眠りの度に起こる恐怖は、俺に眠りを怖がらせた。意識を無くさぬよう必死でもがくと、突然横たわる自分の身体を見下ろしていて、自分が死んでいるのか夢を見ているかがわからなくなる。恐る恐る外へ出ると満月の夜で、風が舞っているのだ。

 状況を理解できずにいる俺を、どこからともなく現れた2匹の白蛇が俺の腕に絡まる。そして俺は空へと舞い上がるのだ。風の舞に身体を委ねる。森を超える、谷を下る。野原を飛び回る。見下ろす感覚はリアルだ。実際の眼で地上を飛び回っていると俺は信じた。

 だが、母も友も、精神科の医師も、誰も信じてくれない。夢だと言い、妄想だと言う。眠るのが怖いと訴える俺に、精神科の医師は睡眠役を処方した。薬で眠る習慣が付き、薬を飲むことでしか明日が迎えられないと思い込んだが。

「そう言えばマスター・・以前お酒で睡眠薬を飲むって話してたわね」

「あぁ、お店をやってる時にね」

 薬を飲むときは酒をのまないことと医師に厳命された。責任を持たないと。医師に責任を取らせるつもりなど無かった。客の流れで夜中の2時になったり3時になったりするのがサービス業だ。それでも朝は早い。新鮮な野菜を仕入れるために市場へ行かねばならなかったし、営業中に出来ないコーヒーの焙煎を営業前に済ませて置く必要があった。3時間か4時間の睡眠を取るには早く睡眠薬を効かせたい。俺は酒で睡眠薬を胃袋に落とす。食事より欲しいのが眠りと酒だった。

「マスターの夢遊病って、そのせいだったんじゃない?」

尚子に言われて思い出した。尚子が一度、夜遅くに訪ねて来て、泊まると言ったことがあった。初めて尚子を店の2階の自室へ入れた。(続く)

クウネル日記

 今朝は配達後半からメチャネムで、それでも雲が多いので朝焼けの色が出るかもとと、期待し、時間調整に韓ドラを見ていたのですが、降悪にも椅子に座ったまま眠りに落ちたようで(笑)気が付いたら陽の出の後でした。諦めて布団へ潜りネタのですが、なんと目覚めたらこんな時間(汗)今日はどうやらネテヨウビで終わりそうです。昼飯食べたらまた寝そうな予感(笑)

 写真は昨日の朝の撮影。日の出30分前の5分間だけのショー―タイムです。